『今昔百鬼拾遺 天狗』京極夏彦 

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感想 ★★☆☆☆

中禅寺敦子と呉美由紀が活躍するシリーズ三作目。事件に不思議さがあって興味を惹かれたものの、トリックというか方法が強引過ぎて納得感はなかったです。

そして男女平等とかLGBTについての主張が多く(というかその手の問題がテーマとも言えます)、僕には合わなかった。

そういう話と知らず、純粋にミステリを期待して読んだため、場違いな所に迷い込んだような戸惑いを覚えました。

これから読む人はそういう内容と知った上で読んだ方がいいと思います。
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あらすじ

高尾山で登山女性が煙のように消えてしまった。捜索隊を組んで山狩りを行うも
発見には至らず、遺体も見つからないため事故の可能性も低い。いったいどこへ
消えたのか。

それからしばらくして、群馬県の迦葉山で女性の遺体が発見される。不思議なことに、その遺体は高尾山で行方不明になった女性の衣服を身に纏っていた。

調べてみたところ、この女性にも捜索願が出されていた。だが、二人の行方不明者の間に面識はない。高尾山も迦葉山も天狗伝説の残る山。二人は天狗にさらわれたとでもいうのだろうか。

この不可思議な謎に、雑誌記者の中禅寺敦子は深く関わることになるのだった。

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感想

非常に不可解な謎だし、そうなった顛末については納得できなくもないです。ただ動機が無茶苦茶で非常に後味が悪い。

実行性についても首を捻りたくなります。この通りにやろうと思ったら、それこそ天狗並の超人的なパワーがないと無理な気がする。

百歩譲って、元軍人とかで人並み外れた膂力と体力の持ち主だった、というならまだ納得できたかも知れません。そのくらい自信がないと、犯人もこんな方法を取らないでしょう。

ちょっと都合良く感じる部分があったので、謎解きミステリとしての満足感は得られませんでした。

そして、多様な価値観についての主張が激しいストーリーも好みではなかった。民族学に関わる因習や風習ならいいんですけどね。

問題の取り扱い方が如何にも現代的で、いつの時代の話かわからなくなりました。

あとがき

このシリーズは一先ずこれで終わりのようです。次もあると思っていたのですが、どうやら『今昔百鬼拾遺 月』は既刊三冊を一冊に纏めたもののようです。

なので、これから読もうと思っている方は『今昔百鬼拾遺 月』を買った方が
お得です(もっと早く知りたかった)。

このシリーズは百鬼夜行シリーズの雰囲気を知るのにいいと、過去作の感想で書きましたが、ちょっと違う気がしてきました。

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