ジブリの教科書 風の谷のナウシカ

宮崎駿監督のアニメーション映画『風の谷のナウシカ』について様々な考察がなされている本書。制作に参加した人たちのインタビューや、著名人のナウシカ論が収録されていて、『風の谷のナウシカ』が好きな人は楽しんで読むことができると思います。この本を読むと作品に対する理解が深まると共に、蘊蓄が増えることは間違いない。ジブリ映画は老若男女問わず誰もが知っている作品なので、いい会話のネタになるかもしれませんね。


本書は3つのパートに別れている。
パート1 映画『風の谷のナウシカ』誕生
この章では宮崎駿、高畑勲、鈴木俊夫の各氏が映画の誕生秘話を明かしている。漫画からスタートして映画になるまでの経緯が語られており、大変な苦労をして映画化されたことがわかります。この制作までの様子だけで一本の映画が作れそうだ。

パート2 『風の谷のナウシカ』の制作現場
ここではプロデューサーや原画マン、美術監督など実際に制作に関わった人たちの、苦労話が語られている。宮崎駿監督の下で働くのは相当大変なことが話から伝わってきます。『エヴァンゲリオン』の監督と知られる庵野秀明さんも原画マンとして参加していて、この作品に参加した経緯が語られています。

パート3 作品の背景を読み解く
様々な分野で活躍する人がナウシカに対する思いを寄稿しています。中には女優の満島ひかりさんのエッセイもあって、この人の文章を読める機会はなかなかないと思うので貴重です。エッセイの中でも「誰かの作った作品の感想を人前で話す、記すのが、好きじゃない」と言っている。彼女はどうやらジャンヌダルクとナウシカに憧れていたようで、なるほどなあと思った。独特の表現をしているところもあって面白かったです。
他には微生物生態学者の長沼毅さんが書いた文章が興味深かった。専門家の立場から腐海を分析していて一読の価値あり。

本書にはそれ以外にも映画公開当時の新聞記事が掲載されていたり、ナウシカの人物造型の元になった、『虫めづる姫君』と『オデュッセイア』の話も抜粋されていて、盛りだくさんの内容となっています。宮崎駿監督が作品に込めた思いを知ることができるし、『風の谷のナウシカ』が好きな人にとっては堪らない内容になっているのではないでしょうか。この教科書シリーズは他のジブリ作品のものも出ているようなので、時間がある時に読んでみようと思います。

 
 

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