ジブリの教科書3 となりのトトロ


ジブリの教科書シリーズ第三弾は『となりのトトロ』。構成は今までと同じで、監督をはじめ制作スタッフたちが作品についての解説を、小説家などの著名人がトトロについてのエッセイを寄せている。この教科書シリーズを読んでいるとやはり、へえ、そういう意味があったのか、としきりに頷きたくなる新たな発見があって面白い。


今では大人気のトトロだから、すんなり作らせてもらえたのだろうと思っていたら、実はそうではなくて、『火垂るの墓』とセットでようやく制作にこぎつけたとか、劇場公開時には客が入らなくて赤字だったとか、意外に感じることが多くあった。 

ポスターやジャケットに使われているトトロと女の子の2ショット。この女の子がサツキとメイをフュージョンさせた姿だということすら知らなかったから、本書を読んでそれを知った時は目から鱗が落ちる思いでした。 何度も見たことあったはずなのになぜわからなかったのか。おそらく何も考えていなかったのでしょう。己の観察眼のなさに唖然としました。

監督の作品に対する思いを知れるのはもちろんのこと、本書で特にいいのは美術監督が背景美術について詳しく語っている点。美術監督の男鹿和雄さんは本作以降、多くのジブリ作品に携わっていて、ジブリに欠かせない存在となっている。描く際に監督からどういう注文を受けたのか、具体的にどんな色を使ったのかがわかり、興味深かった。

エッセイの中で一番面白かったのは、ピクサーで『モンスターズ・インク』などの監督をしているピート・ドクター氏のもの。彼はまだ学生だった頃に『となりのトトロ』を見たようだ。世界的に有名なピクサーのメンバーにまで、影響を与えているという話を聞くと、やはり宮崎駿って凄いのだなあと感じます。

『となりのトトロ』は風景とキャラクターがいいので、カラー写真が豊富なのも嬉しいところ。 挿入されているすべてのシーンを覚えていました。そんな画を作れる技術力はすさまじいものがありますね。
本書は充実した内容だったと思います。


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