感想 ★★★★☆
エラリー・クイーンの代表作の一つ『Yの悲劇』。オールタイムベストに選ばれることも多い本書を、今回初めて読みました。
1932年に発表された古い作品ながら、今読んでもそれほど古臭さは感じなかったです。長く読み継がれているのも納得の面白さでした。
あらすじ
長い間、行方不明になっていた大富豪のヨーク・ハッターの水死体が発見された。
その後、ハッター家の盲目で聾唖の不幸な娘・ルイーザの毒殺未遂事件が起こる。それは何とか未然に防いだものの、遂に殺人事件が起こってしまう。
殺されたのはヨーク・ハッターの妻エミリー。彼女は頭部を殴られて殺されていた。
この事件を警視のサムと探偵ドルリー・レーンが捜査する。
感想
ハッター家はある意味呪われた一族と言ってよく、みんな何かしらの欠陥があります。
巨万の富を持つ呪われた一族で巻き起こる殺人事件。この設定は日本の本格ミステリでもよく見かけます。
『Yの悲劇』がなぜミステリの定番と呼ばれているのかわかった気がしました。
シェイクスピアをこよなく愛する元俳優の探偵・ドルリー・レーンは、常人離れした推理力の持ち主で、早くからいろいろなことに気づきます。
しかし、その考えをなかなか披露してくれないので、警視サムと同じようなもどかしさを、読者も感じることになります。
早く結末が知りたくてページを繰る手が止まらなかった。
最後に明かされる犯人は意外性抜群。ただ驚くだけでなく、なんとなく悲しい気分にもさせられる印象深いラストでした。
犯人特定へのロジックも納得。
いまさらながら読んだ海外の名作『Yの悲劇』。期待に違わぬ作品で満足です。
コメント